わが街の特職課

「くにたち はたけんぼ」は新しいタイプの体験型農園

 文教地区として知られている国立市だが、市の南部には農地も多い。都内のほかの自治体と同様、相続税などの税制の問題や後継者不足、また農業就業者の高齢化で農地の宅地化が進むなどの問題のほかに、1軒当たりの農地が小さく、新規参入が難しいといった問題も抱えている。

 「ここ20年で農地や農家は半分以下になりました」と語る国立市産業振興課農業振興係主事の齋藤隼人さん。

 この状況を何とかしようと始めたのが「国立市農業・農地を活かしたまちづくり事業」だ。平成22年度にモデルプラン、翌23年度に事業実施計画を策定、24年度から事業実施計画に基づき複数のプロジェクトを立ち上げ推進してきた。

 そのうちのひとつ「くにたち はたけんぼ」は、農家と市民と国立市による新しい形の体験型農園。「収益のあがる農園のモデルをつくる」を目的に、今年3月にオープンした。個人ではなく、畑で何かを発信したいというグループや企業に畑を貸出したり、野菜作りが人に教えられ農園を運営できる人材「農園マスター」の育成などを行う。

 「ユニークなところでは、畑を借りている結婚相談所が、収穫体験をしながらの婚活イベントを開いていました」と齋藤さん。ここでは毎週末、大小さまざまなイベントが行われているそうだ。

 市ではそのほか農業や自然とふれ合える里山づくりも進めており、平成27年にはその里山の一角に農の拠点施設もオープンする予定だ。里山は用水やハケ(崖線)と一体となった国立市の農地の特徴が色濃く残る城山エリアにあり、拠点施設「城山さとのいえ」は、軽飲食の提供や農の情報発信を行うほか、体験学習の場などとしても利用される。

 「多摩川から取水する府中用水があるおかげで、国立市南部には田んぼも多いのです。そこで収穫されたお米は、谷保天満宮にちなみ『天神米』と名付けられ、市内各所で販売されるようになりました」と齋藤さん。天神米はまさに国立のブランド米。店頭に並ぶとすぐに売り切れてしまうほどの人気なのだとか。また、最近ではJA青壮年部の若手農家と商工会の青年部がタッグを組み、市内産の農産物を利用した加工商品も開発しており、現在は天神米で日本酒を造るというプロジェクトが進行中。どんな日本酒に仕上がるのか楽しみだ。

 立ち寄った直売所で出会った「くにたち野菜」。12月7日開催の「くにたちマルシェ」でも購入できる。

●問合せ/国立市産業振興課農業振興係 TEL 042・576・2111(内線346)


くにたちマルシェ2013

開催日時:12月7日 10時?15時

場  所:谷保第三公園

詳しくは http://kunitachi-agri.jp/marche/