座談会出席者(発言順)
東京都 副知事 松本 明子氏
パナソニックコネクト株式会社 取締役 山口 有希子氏
株式会社メディアジーン 代表取締役CEO 今田 素子氏
司会 都政新聞株式会社 NEWS TOKYO 編集長 津久井 美智江
女性が活躍できる社会は みんなが生きやすい社会
—今回のテーマは「職場における女性活躍」ですが、なぜ「女性活躍」が重要なのか、それぞれのご意見を聞かせていただけますか。まずは松本副知事からお願いします。
松本 私は、女性活躍の本質は、一人ひとりを大切にすること、それから一人ひとりの力を活かすことだと考えています。
新型コロナウイルス(COVID)が世界中に蔓延していた時に、東京都がどういうことをしたかというと、まずは感染拡大の防止をする、事業者の方と一緒に様々なルールを作る、毎日都民に情報発信をする、ということをし続けていました。その結果、東京はOECD諸国の中でCOVIDによる死者数を極めて低い水準に抑えることができました。
さらに「何としてでも成功させる」という明確なビジョンを打ち出して、コロナ禍で東京2020大会を成功させました。それができたのは、「小池知事」だからであり、知事が女性であることは関係ありません。
私が確信しているのは、女性が活躍できる社会はみんなにとって生きやすい社会だということです。女性が女性としてくくられない社会がいい、女性活躍という言葉がなくなればいい。女性・男性は関係ないということを、私はより強調していきたいと思っています。
—山口さんはいかがですか。
山口 企業の立場で考えると、一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を作っていかないと、企業自体が生き残っていけません。選ばれる企業、選ばれる街、選ばれる国にならなければいけないと思っています。
日本は人口減少が激しい国ですから、いかなるリソースも活かしていかなければならないのに、最大のマイノリティである女性を活かせてない。その理由は何かと考えると、女性のライフイベントがあるからということではなく、活かせるような仕組みにしていないからです。
カルチャーも含めてですが、仕組みの中に構造的な差別が潜んでいると思うんですね。環境も変わっています。人口の構成も変わっています。世の中の当たり前がどんどん変わっていく中で、女性だけでなく、社会も企業も個人も意識をアップデートしていく必要がある。女性活躍の本質とは、女性というよりも一人ひとりの活躍だと思います。
—今田さんはいかがですか。
今田 社会全体で人口の男女比はほぼ半々であるにもかかわらず、女性の地位が低いという形になっています。実はこれ、人権の問題なんですよね。
私は「マッシングアップ」という活動を通してダイバーシティ&インクルージョンの推進を8年ほどやっているのですが、先ほど言われた女性活躍という言葉がなくなればいいと本当に願っています。
私は会社を経営する上で、みんなの力を最大限に活かせるような場所を作りたいと常に考えています。でも、日本の社会のある一定のものを決める人たちの同質性があまりにも高すぎて、新しいアイデアは生まれなかったり、片方からしかものが見られなかったり、組織が硬直したりする。そういうことが、日本の経済に与えてきた影響ってすごく大きいと思います。これを解消するために、いろんなことが行われていると思うんですけれど、遅々として進まないですね。
山口 先ほど話した組織とか文化の構造的差別とつながっていると思いますが、人間の根本的な権利である人権ってとても大切だと改めて思います。