
大和ハウス工業株式会社
今年4月、「エネルギーの使用の合理化に関する法律(以下、省エネ法)」が改正・施行され、エネルギー管理の単位が、従来の工場や事業場単位から、企業単位へと変更された。企業の総務担当者の頭を悩ませている省エネ対策。まず取り組むべきは、オフィスビルの場合、使用エネルギーの4割を占めるといわれる照明のエネルギーの削減だろう。大和ハウス工業が開発した照明システムは、その一助となるのか?。
(取材/津久井 美智江)
無理せず、我慢せず、
照明エネルギーを半減

「この部屋の蛍光灯は1本ですが、高効率反射板を用いた当社の『レフボ』という商品により、1本で2本分の明るさを実現しています。当然、消費電力も約半分です」
実に分かりやすく説明してくれるのは、大和ハウス工業株式会社環境エネルギー事業部事業部長の六反田(ろくたんだ)則幸さん。
レフボとは、同社が開発した省エネ効果の高い蛍光灯システム。既設の照明をレフボに替えることで、蛍光灯の照度をアップさせることができる。
省エネ法の改正により、工場などの産業部門に加え、オフィスやコンビニなど業務部門においても省エネ対策が強化される。消費エネルギー削減は、企業にとって喫緊の問題なのだ。
「オフィスビルの場合、専有部の使用エネルギーの4割が照明で占めているといいます。快適な照度を維持したまま蛍光灯の本数を半減できれば、ものすごい量のエネルギーが削減できると同時に、コストダウンにもつながります。では、イニシャルコストはどうかというと、リーズナブルな価格で販売をしていますので、4?5年で回収ができる計算です」
ちなみに、オフィスビルは全都市ストックで2500万坪、1坪に1台の照明がある計算というから、市場規模としても大きなマーケットといえる。

<ライン型照明>
「もう一つ、コンビニ向けの商品として開発したのが『grace lumino (グレース ルミノ)』です。これは白色LED照明を一元管理することで、省エネルギーを実現し、電力代を大幅に削減することができるシステムです。消費電力、CO2排出量を最大で53%カット、従来の2.5倍、10万時間の長寿命化を実現しました。
また、色のバラツキやムラがなく、自然光に近い色合いで、奈良県立医科大学との共同研究で被験者実験をしたところ、蛍光灯と比較して眼疲労やストレスを軽減できることが実証されています」
グレース ルミノもレフボ同様、省エネによるコストダウンにより、導入にかかる初期投資費用は約4?5年で回収することができるという。
「照明というところから環境エネルギー事業をスタートしましたが、私どもは照明器具メーカーではありませんので、今後は省エネという観点からいろんな提案をしていきます。太陽光発電やリチウムイオン電池、補助金等の活用も含め、さまざまなスキームを考えて、お客様が一番、省エネ対策として搭載しやすいようにするのが僕らの仕事だと思っていますから……」
大和ハウス工業の環境エネルギーに対する取組みは、消費エネルギー削減と同時にコストダウンの救世主となるだろう。