環境
2009年1月20日号
わが社の環境戦略
わが社の環境戦略(5)

ハイアット リージェンシー 東京

 エコフィードという言葉をご存知だろうか。正式には食品残飼料。いわゆる生ごみを原料として加工処理したリサイクル飼料のことだ。ホテルから出る生ごみをエコフィードとして加工し、契約農家に販売。出荷された豚肉を食品関連会社が購入、販売するという循環型社会の形成を目指しているハイアット リージェンシー 東京の取組みを取材した。

(取材/津久井 美智江)

孵化の技術や飼育のノウハウでも
野生動物の保護に貢献

 ハイアット リージェンシー 東京は、小田急百貨店とともに、平成20年度のごみ減量とリサイクル推進に努めた事業者として、新宿区から感謝状が贈られた。

 それが2005年から小田急グループ全体で取り組んでいる「食品ループリサイクル事業」であり、ハイアット リージェンシー 東京では、2007年よりフル稼働で開始した。

 「ホテルから出た生ごみを、グループ企業が運営する小田急フードエコロジーセンターに搬送し、安全性の高い技術で液状飼料化して、契約養豚農家に販売しています。

 飼料は、消化効率が良く、乳酸菌を豊富に含んでいますので、豚は病気になりにくく、飼育に抗生物質などを用いる必要が無くなるというメリットがあります。

 また、豚肉は『香味旨豚(こうみうまぶた)』や『神奈川ヨーグル豚(とん)』などのブランド名で、小田急百貨店やOdakyu OXストアで販売されており、実際に食べてみると、やわらかくて美味しいですよ」と話すのは、総務部設備管理課係長の山地秀行さん。

 ホテルから出る生ごみというと、宴会やレストランで残された料理のイメージがあるが、それらは香辛料や調味料が使われていたり、卵の殻や貝殻が混ざっている可能性がある。飼料として使用できるのだろうか。

 「宴会場やレストランから出るいわゆる残飯は、パンやごはん・麺類以外は基本的に使いません。割り箸やプラスチック容器、ひどい場合はタバコの吸殻が混ざっている場合がありますからね。

 最初の頃は、実際に異物が混ざっていて、返されたこともあります。

 各調理場の目立つところに、イラスト入りのリサイクル食品分別表を貼るなどして、スタッフ一人ひとりの意識を高めているところです」と、山地さん。

 「僕らの大好物」と題された表には「食品リサイクルできるものはごみではなく、飼料の原料です。異物の混入に注意してください。」と書かれていた。

 「生ごみとして出すのは主に野菜くずです。一括して仕入れて、荷解きし、ある程度処理してから各調理場に納品するのですが、廃棄量の削減に努めているものの、野菜くずだけで毎日200?。それに、パンやごはん・麺類のほか、各調理場から出る生ごみを加えたものを専用の容器に入れ、専用の保冷車が回収しています。

 循環型社会の形成を目指していますが、グループ全体で取り組んでいるからこそ、できることかもしれません。今後はホテルのレストランでも『神奈川ヨーグル豚』を使った料理を提供したいですね」と、夢を語ってくれた。