環境
2010年8月20日号
わが社の環境戦略
わが社の環境戦略(11)

大塚製薬

 すでに国家レベルの課題となっている環境対策。エコカー減税や家電のエコポイントなどの政府の支援もあって、特に「エコ」に関しては人びとの意識は高い。今後ますます求められるであろう「環境配慮型商品」。メーカーはどのような対応をしているのか。大塚製薬株式会社のケースを紹介する。

(取材/津久井 美智江)

 

省資源・省エネルギー容器を開発
環境負荷低減に努める

 環境対策の数値目標は年々厳しくなり、メーカーには、製造過程における環境への対応から、商品に対する対策が迫られている。しかし、クリアしなければならない課題が大きければ大きいほど、新しい技術の開発や品質向上のキッカケとなるのも事実である。そして、その対応の仕方に企業の発想や個性がにじみ出る。

 大塚製薬は、品質や環境対策の向上と新技術の開発の同時進行をめざし、常に活動を行っているという。

「ポカリスエット」エコボトルとダンボール

「ポカリスエット」エコボトル(500ml)用ラベルは、50ミクロンから40ミクロンへとさらに薄くすることで、約17%の減量化を実現。段ボールも減量化を図り、使用する石油由来樹脂や段ボールの使用量の削減に努めている。

 たとえば、2009年に発売された900mlのPETボトル。PET樹脂からプリフォームという小さいボトルの原型を成型し、それをPETボトルにする工程すべてを自社工場で行うことにより、約30%の減量化を実現した。

 それまでは、ボトルメーカーで作ったボトルを買ったり、プリフォームで買っていたので、工場までの輸送費や輸送にかかるCO2の大幅な削減につながった。

 さらに、その後の充填工程でも、PET樹脂からPETボトルを成型する際に290℃の高温になるので無菌状態ができ、熱殺菌に必要だった熱エネルギーや薬剤も不要になった。

 自社でボトル製造まで行うということは、外注に頼る方法とは異なり、自社のめざす効率化が可能になり、品質のコントロールもできるということなのだ。

 包装用フィルムや段ボールにおいても減量化を図り、使用する石油由来樹脂や段ボールの使用量の削減に努めている。

 PETボトル用ラベルに使用しているOPS(延伸ポリスチレンフィルム)は、厚みを従来の60ミクロンからすべて50ミクロンに変更。「ポカリスエット」エコボトル(500ml)用ラベルは、50ミクロンから40ミクロンへ薄肉化し、約17%の減量化を実現している。これにより、OPSラベルトータルでは年間約40トン(※1)の削減効果が見込まれるという。

 また、「ポカリスエット」エコボトル(500ml)用段ボールは罫線形状を改良し、軽量材質で従来と同等の箱膨れ抑制効果が得られるようになった。この材質構成の変更により、約10%の減量化が実現。段ボールでは年間約425トン(※2)の削減効果が期待できるとしている。

 これからは、商品の品質、価格、環境性能に対して消費者の見る目は、ますます厳しくなる。そんな時代だからこそ、大塚製薬の強みが活きてくるに違いない。


※1 年間販売本数約3億本の内、2/3(2億本)を切り替えた場合、1本当たり約0・2g削減したとして計算

※2 年間販売本数約3億本の内、2/3(2億本)を切り替えた場合、1箱(24本入り)当たり約34g削減したとして計算